歯周病は口の中だけではなく、実は全身の健康に影響するんです!

2023年04月19日

歯周病は、細菌によって、歯ぐきと歯を支える骨が壊されていく病気です。

かなり進行するまで自覚症状がないので、気づいたときにはかなりの歯周病になっている場合も。歯周病が進行した場合、最終的には歯を失うことになります。

歯を失う原因の第一位は歯周病といわれています。

近年、歯周病が歯だけではなく、全身のさまざまな病気にかかわっていることがわかってきました。

歯の喪失の原因

※詳しくはこちら

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-04-002.html

西宮北口 歯医者 歯周病は口の中だけではなく、実は全身の健康に影響するんです!

糖尿病

糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きが悪くなったり、量が不足したりすることによって、血液中の血糖値が高くなる病気です。

血液中の糖が高い状態が続くと、血管の細胞が炎症反応を起こし、変性してダメージを受けます。特に細い血管はダメージを受けやすいため、細い血管のある器官で、網膜症、腎症、神経障害という「糖尿病の3大合併症」が起こるといわれています。

その他、動脈硬化による脳卒中、心筋梗塞、壊疽など恐ろしい病気を引き起こすこともあります。糖尿病は万病の元と言われるくらい様々な病気を引き起こします。

歯周病は「第6の合併症」とも言われています。

血糖のコントロールが悪いと、歯周病が悪化し、重度の歯周病があると糖尿病が悪化するというように、歯周病と糖尿病は双方向に影響を及ぼす関係であることがわかってきました。

特に、ヘモグロビンA1cの数値が7%を超えると、歯周病が悪化することがわかっています。体格指数が25kg/㎡前後の重度歯周病を合併した糖尿病の方は歯周病の影響を最も受けやすいといわれています。該当する方は、すぐに歯科医院の受診をお勧めします。

歯周病が糖尿病を引き起こす仕組み

歯周ポケットから出てくる炎症性物質のTNF-αが血管に入り、インスリンの働きを妨げます。そのため、血糖値が上がり、糖尿が発症、進行しやすくなります。

逆に、歯周病の治療をすると、血糖コントロールが改善するという研究報告や、平均0.4%くらいヘモグロビンA1cが改善するという報告もあります。

歯周病治療をしたからといって、必ず糖尿病が治るというわけではなく、今後の研究が待たれるところではありますが、歯周病の治療をすることで糖尿病の改善が見込める可能性もあります。お悩みの方は、歯周病治療を一度受けてみられてはいかがでしょうか。

狭心症・心筋梗塞

狭心症は、心臓の筋肉(心筋)に血液を送っている冠動脈が狭くなるために、心筋の血のめぐりが悪くなったことにより起こる病気です。

冠動脈がふさがってしまうために心筋に血液が届かなくなって起こるのが心筋梗塞です。ふさがった先にある心筋は、酸素と栄養が届かず壊死してしまします。

すぐに治療をしないと死に至ることもある危険な病気です。

狭心症、心筋梗塞の原因は動脈硬化です。血管の中にコレステロールが入り込むと、コレステロールと様々な細胞が蓄積してアテローム(粥腫)と呼ばれる状態になります。さらに隆起してコブ状のプラークと呼ばれる状態になります。

歯とは関係なさそうな動脈硬化を起こした血管のプラーク内から歯周病菌が検出されました。ただ、歯周病菌がどのように直接かかわっているかはよくわかっていないそうです。

今後、解明されることを期待したいですね。

肺炎

日本人の死因第3位は、かつて脳血管障害でしたが、現在、第3位は肺炎となりました。

その多くは75歳以上の高齢者で、主な原因は「誤嚥性肺炎」と考えられています。

誤嚥とは、唾液や食物など食道に入るべき物が誤って気管に入ってしまうことをいいます。その唾液、食物と一緒に細菌が気管から肺に入ることで起こるのが誤嚥性肺炎です。

飲み込みにくくなった高齢者や、脳梗塞後遺症や神経疾患、寝たきりの方に多く発生します。歯周病菌などお口の中の細菌が原因であることが多いと言われており、口の中が清潔に保たれにくい状態では、肺炎の原因となる細菌が増殖して、誤嚥性肺炎発症のリスクが高まります。

歯周病の治療やお口の中のケアを行うと、誤嚥性肺炎の予防に効果があることがわかっています。誤嚥のリスクを減らす食事の工夫とともに、口腔ケアを行うことで、予防に努めていただきたいと思います。

早産・低体重児出産

妊婦さんが歯周病になると、歯周病菌や炎症性物質が血液中に入り、出産にかかわるホルモンに影響を与えるため、早産(22週0日~36日6日)のリスクが高くなるといわれています。

早期低体重児出産のリスクは7倍にもなるという報告もあります。これは、アルコールの影響よりも大きな数値です。

特に妊娠期は、女性ホルモンが歯周病菌の増殖を促したり、炎症の元になるプロスタグランジンを刺激したりするために歯肉炎が起こりやすくなります。つわりもあり、歯磨きも十分できなくなることも考えられます。治療も限られた期間しかできません。

赤ちゃんのためにも日頃から口腔ケアに気を付け、安定期になったら、歯科健診を受けましょう。

その他、歯周病が進行している人はメタボリックシンドロームを発症するリスクが高くなる、歯周病が関節リウマチの発症に影響を与える可能性がある、歯周病が骨粗しょう症の進行を抑える可能性があるなど様々な病気との関連があるのではないかといわれてきています。

このように歯周病は、歯だけではなく全身の健康に影響があることがわかってきました。

歯周病は自覚症状なく進行していきます。歯周病予防は、健康のためにとても大切です。

心配な方は歯科医院で状態を確認してもらいましょう。