糖尿病治療中の方が歯医者を受診するときに気を付けてほしいこと
2024年01月20日
糖尿病が強く疑われる人は、全国に1000万人いるといわれ、年々増加しています。
糖尿病の可能性を否定できない人まで合わせると成人の5人に1人は糖尿病の計算になります。
※参考サイト
平成30年版厚生労働白書―障害や病気などと向き合い、全ての人が活躍できる社会に 本文掲載図表 糖尿病患者数の状況
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/18/backdata/01-01-02-08.html
多くの方が糖尿病になっていますが、歯科ではいろいろと気をつけなければならないことがあります。
そのために、まず、糖尿病治療中の方は、必ず診療前にお知らせください。
その際、飲んでいるすべてのお薬、HbA1cの数値、合併症があればそのことについてもお伝えください。
それだけではなく、糖尿病の方には歯医者を受診するときに気を付けてほしいことがあります。
目次
糖尿病患者さんが歯医者を受診する際に気を付けて欲しいこと
一般的に糖尿病の患者様は、歯科治療において、
1.抜歯など外科処置の際、感染しやすく傷が治りにくい
2.血糖値が変動しやすい
と言われています。
感染しやすく傷が治りにくいことについて
通常の方は、歯科治療で問題が起こることは少ないのですが、糖尿病の方は感染しやすいため、特に抜歯の際、お口の中の細菌が血管内に入りこみ菌血症になる可能性があります。
すべての糖尿病患者さんで起こるわけではなく、危ないのは血糖コントロールがうまくいかず血糖値が高い方です。
「糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン改訂第3版」によると、HbA1c が 7%程度にコントロールされている場合,歯周外科治療の適用には 支障がないものと考えられる.
と記されています。外科手術を行った論文をもとに策定していますので、外科的な処置を行うことができるかはHbA1c が 7%程度にコントロールされているかどうかが目安となると考えられます。
当院でも、HbA1c7%を目安に治療ができるかどうかを決めています。
しかし、そのようにコントロールが良好な方ばかりではありません。
HbA1c高値で抜歯が必要となった場合、糖尿病治療をしている内科の主治医に抜歯の可否を問い合わせる必要があります。
すぐに治療をしてもらいたいというご希望もわかります。
こちらもなるべく早く治療したいのですが、安全に治療を行うためには、主治医の先生に問い合わせる必要があるのです。
当院では「歯を抜いていいか聞いてきてください」と患者様にお願いせずに、内科主治医の先生にお手紙で病状について直接やり取りするように努めています。
時間がかかりますが、安全に治療を受けていただくために必要ですので、主治医の先生からのお返事をいただくまでお待ちください。
※参考サイト 糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン 改定第3版
https://www.perio.jp/publication/upload_file/guideline_diabetes_2023.pdf?20230703
・糖尿病の患者さんは、感染を起こしやすいため、外科的な処置の際には、抗菌薬を服用する必要があります。
必ず指示通りに服用してください。
糖尿病では、血流障害、神経障害、免疫機能の低下の影響で、傷が治りにくくなっています。
最近小さなケガが治りにくくなったとお感じの方は、歯科治療を受ける際に院内のスタッフの誰でも結構ですので、そのことをお知らせください。
特に外科処置後の治りに時間がかかる可能性がありますので、治療期間がかかることを前提に、治療計画を立てる必要が出てきます。
患者様も治癒、回復に時間がかかることを心にとめておいてください。
処置内容によっては、通常より多い回数の消毒に通っていただく必要があります。
感染予防のためですのでご協力お願いします。
血糖値が変動することについて
歯科治療はただでさえ緊張します。
ずっと外科処置を意識のある状態でうけることになるのですから。
血糖値は、ストレスや麻酔などで上昇するといわれています。
麻酔後は、しばらく食事を控える必要があるため、血糖値が低くなります。
治療後痛みがあり、食事がとれないというときも血糖値が低くなります。
このように、歯科治療には、血糖値が変動する要因があります。
当院では、治療の前に最後の所持時間と服用時間の確認をさせていただく場合がございます。
なんでそんなことを歯医者に言わないといけないんだと思われるかもしれませんが、安全に治療するために必要なことですので、ご協力お願いいたします。
歯科治療の際は、お昼直前の時間帯を避ける、前もって食事をとる、薬をいつも通りに服用する、低血糖発作を起こしたときのため、糖分をお持ちいただくなどの準備をお願いします。
※当院では糖分入りのジュースは念のため常備しています
治療のご予約に関する具体的な時間などは当院受付スタッフとご相談ください。
治療後にこんなことが起こったら・・・
□高度の発熱、腫れ、寒気がする
□食事をとることができない
□糖尿病の治療薬を服用できない
□喉が渇く、またはトイレに行く回収が急に増えた
□処方された抗菌薬をきちんと服用していない
これらの症状がでましたら、まずはご連絡ください。
状態により、内科の主治医の受診をお願いする場合があります。
※引用:日本糖尿病協会登録歯科医認定テキスト 観血的処置後のチェックポイント
糖尿病連携手帳をお持ちください
糖尿病連携手帳、お持ちですか?
お持ちであれば、診療前に受付に提出してください。
検査の欄をみて、治療において配慮すべきことを確認します。
そして、糖尿病連携手帳に歯科のページがあるのはご存じでしょうか。
眼科・歯科のページというものがあり、現在の状態が簡単に記録できるものになっています。(第4版:16-19P)
歯周病の重症度、現在ある歯の本数等を記入できるようになっています。
検診の結果を記録していくことができます。
また、かかりつけの歯医者の情報を書き込む欄もあります。(第4版:6P)
当院受診の方、「あおばヒロ歯科クリニック」と当院の名前を忘れずに書き込んでおいてくださいね。
※参考サイト 糖尿病連携手帳
https://www.nittokyo.or.jp/modules/patient/index.php?content_id=29
当院は糖尿病協会登録歯科医です。
糖尿病の方に配慮して治療を行っています。
歯科治療でご心配なことがあるときは、スタッフ、歯科医師に気軽にご相談ください。