子どもの歯科麻酔について

2024年10月21日

大人でもイヤな気持ちになる歯医者さんの麻酔。

子どもにとってもかなりハードルの高い治療です。

かといって、麻酔をしないまま痛みが出る治療をすると、治療で痛かった!という経験のため、次に治療をさせてくれない状態になることもありますので、麻酔は必要があれば使用しなくてはならないものです。

 小児の治療で麻酔が必要な場合は?

麻酔が必要なのは次の処置のときです。

1.乳歯の抜歯

2.大きな虫歯の治療

 歯医者さんで抜歯をしなくてはならないようなときは、なかなか抜けない、歯に引っかかっている、歯並びに悪影響が出るために抜歯が必要と判断されたときです。

その場合は麻酔が必要になることがほとんどです。

乳歯は元々サイズが小さいため、虫歯の穴が小さく見えるので、これくらいの穴なら麻酔無しでできませんか?と保護者の方から質問を受けることがありますが、穴が開いているような虫歯は歯の神経の近くまで達していることが多いので、削る際には痛みが出てしまいます。痛みを我慢できるタイプのお子さんでも神経近くにまで進行した虫歯の治療は痛みが出ますので、麻酔が必要となります。

麻酔の痛みを感じさせないために

麻酔ができないために虫歯治療ができないということはよくあります。

特に怖がっているお子さんは痛みにも敏感になっていることが多く、少しの痛みでも許容できなくなっています。

なるべく痛みを感じさせないように、当院では次のような工夫をしています。

1.表面麻酔

針のチクッとした痛みを和らげる表面麻酔をはじめに塗ります。

唾に混ざると苦い味がしますので、なるべく味が広がらないように唾を吸っています。

2.極細の針の使用

針が細くなればなるほど痛みが感じにくくなります。

当院では販売されている中で一番細い針(35G)を使用しています。

3.電動麻酔器の使用

西宮北口 歯医者 電動麻酔器いかにも注射という形のものをお子さんはかなり警戒します。

電動麻酔器は、一見すると注射に見えないので、注射にたいする怖さを和らげます。

針のチクッとする痛みの他に、麻酔を注入する際の圧力の違和感に対して痛みを訴えることがあります。

時間はかかりますが、電動麻酔器は低圧力で 麻酔することができますので、圧力の違和感を抑えることができます

4.笑気麻酔の使用 ※ご希望がある場合のみ

西宮北口 歯医者 笑気麻酔

笑気吸入鎮静器

恐怖心が強いお子様には、笑気麻酔といって、鼻から笑気ガスを吸引してもらう方法があります。

笑気麻酔は、恐怖心をやわらげ、痛みを感じにくくする効果があります。

麻酔が効くと、ぼーっとした状態、ふわふわした状態になります。

そこで通常の麻酔をします。

鼻から吸引してもらいますので、鼻づまりがある場合には効き目が弱いことがあります。

また、できるかできないかはお子さんにもよりますので、ご相談ください。

このように色々なことを試みても、お子さんの中には、麻酔と聞くだけで治療ができなくなる、麻酔をした瞬間に暴れる、電動麻酔器に手をかけて引き抜こうとするなどということがあります。

その場合は安全な治療が行えなくなりますので、当日の処置はあきらめて、後日改めてトレーニングから開始することになります。

当院では押さえつけて麻酔をすることは安全面から行っておりません。

再度トレーニングが必要となる場合は、根気強く通院が必要となる場合があります。

麻酔は何歳から使用可能なのですか?

生後間もない赤ちゃんの手術でも麻酔は使用されますので、麻酔薬は年齢を問わず使用できるものです。

しかし、実際に麻酔を使って安全に治療ができる年齢となると、当院では早くて3歳からとなります。

原則として3歳以上、上手に歯科治療を受けることができるお子さんにのみ麻酔を使用しています。

年齢というよりも歯科治療ができるかどうかが大きく影響します。

6歳くらいになると、色々と耐性が付いてきますので、おおよそのお子さんが麻酔可能になってきます。

麻酔自体が不安なのですが・・・

過去に、麻酔を使用したむし歯の治療後に2歳の女の子が死亡するという痛ましい事故がありました。

たびたび報道などで取り上げられるので、麻酔をしても大丈夫なのかと不安に思われる保護者の方もいらっしゃいます。

どのような薬でもいい面と悪い面(副作用)があり、アレルギー反応が起こる場合もあります。

どのような薬でも、初めて使用する際には、注意する必要があるのです。

特にお子様では、予防接種で注射はしたことがあっても、麻酔は初めてということが多いと思います。

歯科の麻酔で起こる可能性があるのは、

麻酔薬のアレルギー

局所麻酔の中毒

神経原性ショック

過呼吸

などです。

こんなに起こるのかと驚かれるかもしれませんが、これらが起こることはかなり稀です。

このようなことを起こさないよう、今までの病気、アレルギー体質かどうかなどを事前に確認して、麻酔が可能かを確認しています。

また、麻酔をして異常が起こっていないかを確認しながら行います。

特に初めての麻酔は注意を払っております。

当院では、何か起こった際に対応できるよう、酸素吸入器やAED、各種薬剤などを準備しております。

当院で対応が難しい状況が起こった場合は、提携している近隣病院へ救急の要請をします。

麻酔に対してご不安がある場合は、ご相談ください。

麻酔の後注意してもらいたいこと

お子さんに麻酔を使用したときに、いつもお願いすることが3つあります

  • 麻酔が効いているうちは食事を控えてください
  • 麻酔が効いているところを触らないでください
  • 麻酔が効いている頬・唇を吸ったりしないでください

食事をして誤って噛むと大きな傷になりますし、麻酔がきいている部分を触りすぎると傷になったり腫れたりします。麻酔が効いている唇などを吸うと加減がわからず思わぬ傷になってしまうことがあります。

傷になるとその後1週間ほど口内炎になり痛い思いをしますので、麻酔後は注意してお子さんの様子を見守っていただきたいと思います。

麻酔は軽めの麻酔で1~1時間半、通常の麻酔で2~3時間効果が持続しますので、麻酔が食事の時間まで効果がありそうな場合は、早めに食事を済ませておくか、軽く食べて食事の時間をずらす等の対応をお願いしています。

麻酔が効いているうちは、温度も感じにくくなりますので、熱い飲み物は避けて、常温か冷たい飲み物を取るようにしてください。

また、お口から液体がこぼれたりしますので、色の濃い飲み物も避けた方がいいと思います。

まとめ

お子さんになるべく麻酔はしたくないというのは親として思うことでしょう。

麻酔を使用することについてご不安があればご相談ください。

そもそも、麻酔が必要な虫歯にならなければ、麻酔をする機会は少なくなります。

虫歯にならないようにおうちでのケアをしっかり、定期的に歯医者さんで検診を受けましょう。