子どもの上唇小帯について
2024年11月09日
上唇と歯茎の間にあるヒダを上唇小帯といいます。
1歳半検診・3歳児検診の際に、上唇と歯茎の間にある上唇小帯について指摘を受けることがあるようです。
指摘されると心配になりますよね。
今回は、上唇小帯についてお話したいと思います。
上唇小帯とは
上唇小帯とは、上唇と歯茎の間にある、ヒダのことです。
上唇小帯は、上唇の位置を保つ、ある程度以上の動きを制限する働きがあります。
乳幼児は、上唇小帯が幅広く、長く見えます。
大人になるにしたがって、徐々にスジが上に上がっていき、幅も狭くなってきます。
ご自身の唇をめくってみてください。
かなり上の方にあることが確認できると思います。
上唇小帯が問題になるケース
上唇小帯が、前歯の歯の間に入りこんでいることもあります。
この状態を上唇小帯高位付着といいますが、次のようなことが起こる場合があります。
1.歯並びに影響が出ることがあります。
上の前歯の間に隙間ができることがあります(すきっ歯)
特に、7歳前後の大人の前歯が生え変わる頃になっても、小帯が邪魔をしていると、前歯の歯並びに影響が出ることがあります。
2.汚れがたまりやすく、虫歯になりやすくなります。
3.歯みがきをするときに、小帯が傷つきやすいので、仕上げ磨きの際、嫌がられることがあります。
嫌がられると、磨き残しができて虫歯になりやすくなります。
ヒダを指でガードしてから磨く、もしくは、1本1本の歯をヒダに触れないようにヒダの向きに沿って、歯に対して斜め磨くようにすると痛みを軽減できます。
4.小帯の付着が長いと、転倒して前歯を打った際に、切れてしまうことがあります。
その際は、圧迫すると出血も止まりますので、縫合はせずに済むことが多いです。
※スタッフブログ 子どもが口をぶつけた・口から血が出ているときの対処法
https://www.aobahiro-dc.com/column/2024/4283/
上唇小帯の治療法
1.経過観察
上唇小帯は、成長とともに歯から離れて上がっていきます。3歳頃は、かなり太く見える小帯でも、成長とともに改善が見込まれます。
3歳児検診で指摘された場合は、しばらく様子を見ていただくことが多いです。
しかし、大人の前歯が生える頃に、上唇小帯が裏側(口蓋側)まで太く長く伸びて、前歯にすき間が残っているようなとき、明らかに小帯が原因の場合には、切除を検討することになります。
2.上唇小帯切除術
麻酔をした後、上唇小帯の一部を切除します。
メスやハサミを使用することもあれば、電気で切る場合もあります。
こちらは、保険適用の手術となります。
上唇小帯切除術の時期は、個々の状態によって異なりますが、一般的には永久歯が生え始める時期に行われることが多いようです。
上前歯2本が生える頃に行われることが多いのですが、上4本生える頃に真ん中の隙間が自然に無くなることもあります。
兵庫県歯科医師会の『上唇小帯の乳幼児期における特徴』によると、「上唇小帯の形態と付着位置の異常は成長発育に伴い改善が見込まれる場合があり、小帯の切除術は低年齢での 施行は避け、障害の程度を診査し、 9 歳以降まで経過観察し、その後切除するか否かを診断する。」とありますので、9歳まで経過を見るという考えもあります。
永久歯が生えてから小帯を切除した場合、必ずしも歯と歯の間が自然に閉じるというわけではありませんので、閉じない場合は、矯正治療が必要となります。
早いうちに切除しておかないと歯並びに影響がでるのではないか?早い方が影響が少ないのではないか、予防として手術した方がいいのではと思われるかもしれませんが、小さなお子さんが簡単とはいっても麻酔をして手術をするというのは、大変です。
年齢とともに改善する可能性もありますので、必要なときにされる方が負担が少なくなると考えます。
小帯の状態によって、処置が必要かどうかは変わります。
小児歯科を標榜している歯医者さんを受診して相談しましょう。
また、処置の時期に関して基準が明確にあるわけではありませんので、よく歯科医とご相談ください。
※参考サイト 日本歯科医師会 テーマパーク8020 舌・上唇・頬小帯とその異常
https://www.jda.or.jp/park/trouble/index16_02.html