仮封(かふう)って、どんなもの?
2024年11月19日
歯医者さんでの治療中、仮の蓋をされたことはありませんか。
この蓋を「仮封」といいます。
歯科治療の途中で、歯に一時的に被せるものを指します。
根の治療中や、歯を削った後に使われます。
次の治療までの間、仮封とは、歯を削ったり、神経を抜いたりする治療の後、歯を保護したり、機能を維持したりするために使用されます。
目次
仮封の役割
仮封は、歯医者さんで歯を削ったり、根(神経)の治療をしたりしたあと、次の治療までの間、歯を保護するためのものです。
主に、
歯の保護:削られた歯は、しみる部分が表面に出ているため、外からの刺激に対してしみたり、痛みがでたりします。そのため、仮封で歯を保護します。
感染防止:根の治療中など、治療中の部位に細菌が入ってしまうのを防ぎます。
歯と歯の位置を保つため:歯は隙間があるとその隙間に動いてきてしまうことがあります。歯が動いてしまうと、作った詰め物が入らなくなってしまうことがありますので、歯の位置を保つために、仮封をして、歯の位置が動かないようにします。
見た目の改善:前歯の治療などでは、仮封をすることで、見た目を良くすることができます。
歯の機能維持: 穴が開いていると、噛みにくいため、蓋をすることで噛み合わせを一時的に整え、食事がしやすくします。
仮封の種類
仮封材料は治療によって種類があります。
主に、削ったあとの仮封と、根の治療で使用する仮封です。
削った後の仮封
プラスチックのような素材で、削った後を覆います。
完全にくっつけるものではないので、仮封の間は外れやすい状態です。
光で固めるものや、液と粉を混ぜて使用するものがあります。
根の治療後の仮封
根の治療の後の仮封は様々です。
グラスアイオノマーセメントという丈夫な蓋をすることもあれば、CRといって、虫歯治療に使用する材料で蓋をすることもあります。
一番当院で活躍するのが、水硬性セメントです。
はじめ紙粘土のような柔らかさですが、水分と反応して固まるものです。
固まるまで30~1時間かかります。
メーカーによると、2週間程度はしっかりと封鎖してくれるようですが、それ以上になると、丈夫な蓋をする必要があるようです。
封鎖が悪くなり、蓋が緩むと、再度根の中に細菌が感染してしまいますので、決められた予約日に行くようにしましょう。
しばらく歯医者さんに通えなくなりそうなときは、治療前に先生に伝えましょう。
仮封中の生活について
仮封は、後で外すことを前提としてつけているものですので、何をしても大丈夫というわけではありません。
日常生活を送る上で、いくつかの注意点があります。
・粘着性の高い食べ物で外れる可能性がありますので、ガム、キャラメルは避けるようにしましょう。
・仮封は着色しやすいので、色素が付きやすい食べ物は注意しましょう。
・歯と歯の間に仮封が入っている場合は、歯間ブラシ、フロスが入らないことがあります。
ひっかけないように歯ブラシで磨きましょう。
・強く咬まないようにしましょう。強く咬むと変形して外れやすくなったり、仮封がたわんで歯を刺激したりすることがあります。
・硬いものをたべたりすると、仮封が欠けたり、残りの歯が欠けたりしますので、気を付けて食事をするようにしましょう。
・根の治療中に使う仮封は、少しずつ仮封が減ってくることがあります。
・歯磨きで清潔に保ちましょう。
仮封が入っている歯では積極的に噛まないようにするのが安心です。
仮封中、気を付けて生活していても、外れたり、欠けたりということがあります。
仮封はどのくらいの期間になるの?
仮封の期間は、治療内容によって異なります。
削ってかぶせる治療の場合は、次回かぶせ物ができるまでの期間となりますし、根の治療中の場合は、根の治療がある程度進むまで仮封をすることになります。
根の治療は時間がかかりますので、数か月仮封の状態となる場合もあります。
仮封が外れた場合
仮封が外れてしまった場合は、すぐに歯医者さんに連絡しましょう。
連絡して、指示を仰ぎましょう。
緊急性があるかも相談しましょう。
受診の際には、可能であれば、外れたものも持っていきましょう。
受診までの間は、なるべく物が入らないように気を付けて生活しましょう。
よく、接着剤でくっつけるという方がいらっしゃいますが、接着剤を使用すると、次の治療の際、接着剤を外すために歯を削らなければならない場合もあります。
歯を削ることで、作った詰め物が合わなくなったり、接着剤が外せずに作り直したりということもあります。余計に時間がかかりますので、接着剤の使用は絶対にやめましょう。
仮封が外れるとすぐに虫歯になっていますと心配する方がいらっしゃいますが、適切に磨けていれば、1週くらいで虫歯が進行して深刻な状態になるということはありません。
仮封が外れた場合は、早めに歯医者さんを受診することが大切です。
仮封は戻してもいいの?
変な位置ではめ戻すと、痛みが出る可能性もありますのでお勧めはできません。
基本的にははめ戻さずにそのままにしている方がいいのですが、どうしてもという場合は、仮封をきれいにして鏡を見ながら慎重に戻しましょう。
はまりにくいなと思ったら、やめてください。
無理にはめ込むのはよくありません。
変に刺さってしまい、歯ぐきを傷つけてしまう場合があります。
他の歯医者さんを受診してもいいの?
仮封が外れた日、通院中の歯医者さんが休診日ということもありますよね。
痛みが無いなど生活に支障が無ければ、次の日まで待てるかと思いますが、ちょっと生活が不便な時、他の歯医者さんを受診するか迷います。
痛ければ他の歯医者さんでもいいので応急的に処置をしてもらいましょう。
仮の蓋が取れたことを伝えれば、また応急的に仮の蓋をしてもらうことができるはずです。
歯医者さんによっては、受け入れが難しいこともありますので、事前に問い合わせしてから受診した方がいいでしょう。
仮封のままでも大丈夫ですか?
歯医者さんの次の約束をキャンセルした時、次に行かなくてはと思いつつ日がたってしまう。
仮封のままだけど、特に痛みはないし、このままでもいいのでは?と思うことがあるかもしれません。
しかし、ずっと仮封のままでは封鎖がしっかりとされていないので、隙間から虫歯菌が入り込み再び虫歯になる可能性があります。
せっかく虫歯を取ったはずなのに再度虫歯になり、神経の処置をしないといけなくなる、根の治療をして歯を残せるはずだったのに、抜歯になるといったことが起こりますので、仮の状態で治療を中断するのはやめましょう。
まとめ
仮封は、治療をスムーズに行うために大切なものです。
治療中は不安定な状態が続きますが、仮封はあくまでも仮ですので、最後まで治療をしましょう。
何か困ったことが起こったら、すぐに歯医者さんを受診しましょう。