インプラントを失う原因No.1! インプラント周囲炎について解説
2024年12月27日
時間とお金を使ったインプラント治療、できる限り長持ちさせたいと思いませんか。
インプラントは虫歯にはなりません・・・が、歯周病にはなります。
インプラントを失う主な原因No.1はインプラント周囲炎といわれています。
本コラムでは、インプラント周囲炎の原因、治療、予防について解説します。
目次
インプラント周囲炎とは?
インプラント周囲炎とは、インプラントを埋め込んだ後に、その周囲に炎症があり、骨が溶けて無くなっている状態です。天然の歯の歯周病がインプラントに起こったような状態と考えてください。
インプラント周囲炎は、歯周病より炎症が強く、急に起こり、進行も早いと言われています。
歯周病もインプラント周囲炎も炎症によって、骨が溶けていきますが、インプラント周囲炎は、全周にわたって骨が無くなっていることが多いです。
進行が速いため、早期に対応することが大切になります。
インプラント周囲炎の10%~20%、その前段階のインプラント周囲粘膜炎の有病率は25~60%にもなると言われています。
インプラント周囲炎が進むとどうなるの?
骨が溶けておらず、歯ぐき周囲の炎症にとどまっている状態をインプラント周囲粘膜炎といいます。
インプラント周囲粘膜炎が進行すると周囲の骨が溶け始め、インプラント周囲炎と呼ばれる状態になります。
インプラント周囲炎が進行すると、歯を支えている骨が溶けてしまい、最終的にはインプラントが抜け落ちてしまう可能性があります。そうなると、再びインプラント治療を行う必要が生じたり、入れ歯にせざるを得なくなったりするなど、大きな負担がかかります。
なぜインプラント周囲炎になるの?
主な原因は、プラーク(歯垢)です。
歯磨きが不十分だったり、定期的な歯科検診を受けていなかったりすると、インプラントの周囲にプラークが溜まり、細菌が繁殖します。
この細菌が歯肉や骨を刺激して炎症を起こし、インプラント周囲炎へと発展するのです。
インプラント周囲炎になりやすい人はどんな人?
口腔衛生状態が良くない、歯周病になったことがある人、メンテナンスをしない人がなりやすいという報告があります。
インプラント周囲炎の原因の1つは、プラークです。
プラークが取り除かれずにいるとインプラント周囲炎が起こりやすくなります。
元々、歯周病になりやすい人は、ご自身の免疫機構は変わりませんので、インプラントも同じく歯周病になりやすいと言われています。
特に重度の歯周病になったことがある方は要注意です。
メンテナンス治療を怠った場合もリスクが上がると言われています。
インプラント周囲炎の症状
歯周病のような症状が出ます。
- 腫れ: インプラント周囲の歯肉が腫れる
- 出血: 歯磨きや食事の際に、インプラント周囲から出血する
- 口臭: 口臭が気になる
- 痛み: 腫れた部分に痛みを感じる
- インプラントがグラグラする
これらの症状は、ご自身で気づきにくい場合があります。
かなり病状が進まないと痛みが出てきませんので、痛くないから大丈夫と思わずに、定期的にチェックしてもらうようにしましょう。
インプラント周囲炎の治療法
インプラント周囲粘膜炎からそのままの状態が放置されるとインプラント周囲炎に移行してしまいます。
インプラント周囲炎になると治療が難しくなると言われています。
インプラント周囲炎の治療法は、症状の進行度によって異なります。
- 初期の段階: 口腔衛生指導や歯石歯垢を取り除くなどの処置を行い、炎症のコントロールを試みます。
- 中等度の段階: 歯ぐきをはがして、より深くの歯垢や歯石を除去します。骨の組織を再生する治療を行う可能性もあります。
- 重度の段階: 感染がコントロールできないと、インプラントを撤去する場合があります。
インプラント周囲炎にまで進行してしまうと、治療の成功率は残念ながらそれほど高くはありません。
4~6割といわれています。
インプラント周囲炎の前段階で食い止めることが非常に大切です。
インプラント周囲炎の予防方法
1. 丁寧な歯磨き:インプラント周囲も丁寧に歯磨きを行い、プラークをこまめに除去しましょう。
2.デンタルフロス・歯間ブラシなど補助器具の使用: 歯ブラシだけでは届きにくい部分のプラーク除去に役立ちます。インプラントの構造や種類によっては、デンタルフロスの使用時に繊維がちぎれる可能性がありますので、一度衛生士に確認してもらうとよいでしょう。
3.定期的な歯科検診: 歯科医院でクリーニングを受け、歯垢や歯石を除去し、口腔内の健康を維持しましょう。定期的なメンテナンスをしているかどうかで、インプラント周囲炎の発病率におよそ4倍の差があったという報告もあります。早い段階、周囲粘膜炎の段階であれば、治癒する可能性があります。早期発見が大切になりますので、定期的なメンテナンスは欠かさないようにしましょう。
4.禁煙: 喫煙は、歯周病だけでなく、インプラント周囲炎のリスクも高めます。
5.食生活の改善: バランスの取れた食事を心がけましょう。
まとめ
インプラント周囲炎は、早期発見・早期治療が大切です。日頃から丁寧な口腔ケアを行い、定期的に歯科医院を受診することで、インプラントを長く使い続けることができます。
インプラント治療を受ける前に、しっかりとお手入れと検診が必要なことを確認しましょう。
もし、インプラントの症状が気になる場合は、早めに歯科医院にご相談ください。
※参考サイト 日本臨床歯周病学会 インプラント周囲疾患