虫歯になりやすい場所は歯のどの部分?虫歯の原因を知って対策しましょう
2023年05月02日
なんで自分はいつも虫歯になるのだろう、歯磨きしているのになぁと思うことありませんか。
虫歯は一定の条件がそろうとなります。
虫歯になりやすい場所もある程度決まっていますので、それに対して対策することが虫歯にならないコツになります。
目次
虫歯はどうしてできるの?
虫歯は、虫歯菌が酸を出して、歯を溶かすことでできます。
「虫歯菌」、「糖」、「歯の酸に対する抵抗力(歯質)や唾液の量などの条件」+時間が関係して虫歯になると言われています。
虫歯菌は、食事やおやつなどに含まれる糖分を栄養にして増えます。
その際に、菌の周囲にネバネバするグルカンという物質を放出することで強固に歯にくっつき、細菌の集合体が形成されます。歯の表面で細菌が増えて白い汚れとなったものが、プラーク(歯垢)です。食後8時間でプラークはできると言われています。
しばらく歯磨きをしないと、歯を舌でさわるとヌルヌルとしますが、これがプラーク、細菌の塊です。歯と歯の間をつまようじで触ったときとれてくる白い塊も同じプラークの塊です。
ブクブクうがいでは取り除くことができません。
虫歯菌では、ミュータンス菌という菌が有名です。※この菌以外の複数の菌が虫歯には関係しています。
ミュータンス菌は約1㎛の球状の菌で、食後に歯を磨かずにいると、たった3分のうちに歯を溶かすほどの強い酸を作り出すといわれています。生後18~30ヶ月の間に歯の表面に定着し始め、子供の口の中に定着します。子供の菌は、母親由来が約50%父親が約31%と言われていますから、子供の歯を守るためには、家族の方も適切な治療をして、清潔なお口になっておく必要があります
お口の中から完全に虫歯菌を無くすことはできませんが、歯磨きでプラークを残さない、栄養分となる糖を減らすことで虫歯にならないようにすることができます。
糖には果糖や麦芽糖、乳糖、オリゴ糖など様々な種類がありますが、虫歯菌が好むのは砂糖とジュースなどに入っている果糖ブドウ糖液糖です。甘いものを食べると虫歯になるといわれていますが、甘いものをダラダラ食べたり、ジュース、甘いコーヒー・紅茶を頻繁に飲んだりしていると、虫歯菌が活発に酸を作り、虫歯になりやすくなります。
唾液には、歯の表面を洗い流す、酸によって溶け出した歯にミネラル分を補給して修復する再石灰化という働きがあります。唾液が少ないと、歯を修復することができなくなり、虫歯になりやすくなります。
虫歯になる条件がそろった状態、虫歯菌、糖、歯の酸に対する抵抗力や唾液の量などの条件がそろっている時間が長くなると虫歯になります。
乳歯は永久歯にくらべて歯が弱くできていますので、虫歯は早く進行していきます。
また、生えてきたばかりの永久歯も歯としては成熟しておらず弱いため要注意です。
虫歯になりやすい場所
虫歯になりやすい場所があります。
1.かみ合わせの溝
特に奥歯が要注意です。子供に発生する虫歯の8割以上が臼歯のかみ合わせの溝から発生しているという報告があります。
2.歯と歯の間
歯ブラシの毛先が入りにくく、プラークがたまりやすいので、虫歯になります。
歯ブラシだけではプラークは60%くらいしか取り除くことができないといわれています。
3.歯と歯ぐきの境目
歯がカーブになっていたり、くびれたような形になったりしているため、磨き残ししやすくなります。
4.歯が重なったところ
歯ブラシを横に当てているだけでは、磨き残しが出やすくなります。
5.斜めに生えている親知らず
奥で磨きにくいこと、手前の歯の間の隙間にうまく歯ブラシの毛先が入らないので、虫歯になりやすいです。
6.歯茎が下がって露出しでてきた歯根
歯周病などで歯茎が下がると、今まで歯茎に覆われていた歯の根(歯根)が出てきます。歯が長くなってきたと感じるのは、歯の根が出てきたからです。歯の根の部分は、歯冠に比べて酸に弱いので、虫歯になりやすいところになります。歯の根にできた虫歯を根面う蝕(虫歯)と言います。
7.詰め物やかぶせ物の境目
治療した歯は何度も虫歯にならないだろうと思っている方もいらっしゃいますが、治療が終わってから年月が経つと、詰め物やかぶせ物の劣化、接着剤の劣化、歯のすり減りなどが原因で、詰め物やかぶせ物と歯の境目に隙間ができてくることがあります。そこが磨きにくくなり、虫歯になってしまいます。
元々、虫歯になる場所は、自分にとって歯磨きが苦手な場所とも考えられますので、同じような生活習慣では、再び虫歯になる確率は高くなります。
虫歯にならないようにするには?
虫歯にならないようにするためには、「虫歯菌」、「糖」、「歯の酸に対する抵抗力や唾液の量など」要因に対しての対処をする必要があります。
「歯磨き」「糖分の摂取制限」「歯の質を強くする」といった対処法です。
歯磨き
1.まずは歯ブラシを選びましょう
目安は、自分の歯の2本分くらいのヘッドの長さで歯周病になっていない健康な歯茎の場合は、「ふつう」の硬さを目安に、握りやすいものを選んでください。
隅々まで磨きたい方、歯並びが重なっている方は、コンパクトヘッド、奥歯が磨きにくいと感じる方は、ヘッドの薄いものをお勧めします。「かため」は汚れをしっかりと落としてくれますが、力が入りすぎると歯茎を傷めますので、軽い力で磨くようにしてください。
自分にどんな歯ブラシがいいのか、今使っている歯ブラシがあっているかわからないという方は、歯科衛生士にご相談くださいね。
2.デンタルフロス・歯間ブラシなど歯の間のケアをしましょう。
歯の間は、歯ブラシだけでは60%くらいしかプラークが除去できていないといわれていますが、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで、90%近くのプラークを取り除くことができます。
少なくとも1日1回使用すると使用するとよいでしょう。
3.歯磨き剤
虫歯予防効果の高いフッ素入り歯磨き剤を選びましょう。市販品の約90%にフッ素が配合されています。フッ素配合歯磨き粉の虫歯予防率は30~40%と言われています。
年齢別に、推奨フッ素濃度があります。
歯が生えてから2歳までは1000ppmF、6歳以上は1500ppmFを目安にしてください。
※詳しくはこちら
https://www.aobahiro-dc.com/column/2023/2836/
厚生労働省の情報提供ページ「フッ化物配合歯磨剤」
糖分の摂取制限
虫歯菌の活動の元は糖です。お口の中に頻繁に糖が存在すれば虫歯菌の活動が活発になり、虫歯ができやすくなります。
食べ物の摂取回数が多いほど口の中は虫歯ができやすくなるので、ダラダラ食べをせず、おやつはまとめて!1日1回。食べ終わった後はお茶などを飲んでお口の中から糖を無くすことを心がけましょう。
どうしても甘いおやつを食べたい…というときは、糖分が少なく、短時間で食べ終わるもので、歯にくっつきにくいものを選びましょう。
ゼリー、アイスクリームなどは歯にくっつきにくいので甘いものの中でも虫歯の危険性が低いおやつになります。
キャラメル、飴は糖分が多く、食べ終わるのに時間がかかるので、虫歯の危険性が高いおやつになります。キシリトールなど糖分ゼロの飴などに変えるだけで、危険性が低くなります。
参考になさってください。
歯の質の強化
フッ化物で歯を強くしましょう。
フッ素を利用することで、歯の再石灰化を促進し、虫歯に対して抵抗力を上げることができます。フッ化物利用は主に3つ、フッ素配合の歯磨き剤、フッ素洗口、歯医者さんでのフッ素塗布です。
先に述べたように、フッ素配合の歯磨き剤は身近なフッ化物利用です。毎日のケアに取り入れましょう。
フッ素洗口は、一定濃度のフッ素が入ったうがい薬で、ブクブクうがいをします。
学校等で行っているところもありますが、行っていないところの方には、個別に洗口をお勧めしています。特にお子さんに効果的なので、ぜひご検討ください。
フッ素塗布は、高濃度のフッ化物ゲルを歯科医院で塗布します。
1歳の乳歯の虫歯から成人の根面う蝕の予防まで年齢も幅広く行われています。
虫歯になりやすい人などにも行っています。
フッ素塗布は、1回塗布しただけでは効果がありません。
定期的に継続して行う必要があります。乳幼児では虫歯が半減、永久歯では予防効果が20~30%との報告が多いようです。最低でも年2回、定期的に歯科医院に通院する必要はあります。
仮に虫歯になった場合は、何回も通院が必要になることもあります。特にお子さんの場合は、必ず虫歯治療ができるわけではありません。小学生でも治療が怖くてできないお子さんがいらっしゃいます。特に小さなお子さんは治療ができないことが多いです。
お子さんを定期的に歯科医院に連れてくるのは大変なことですが、虫歯にならないよう、小さなうちから虫歯予防に取り組んでください。