歯がしみる!虫歯かもしれない・・・それは知覚過敏かもしれません

2023年06月04日

暑い日が続き、冷たいものを口にしたくなるこの頃、歯がしみることはありませんか。

受診される患者様の中でも、とても多い訴えです。

一時的に歯がしみるのであれば、それは知覚過敏かもしれません

 

知覚過敏とは

知覚過敏とは、冷たい飲食物、甘いもの、風に当たった時、歯ブラシの毛先が当たると歯が一時的にしみる症状のことです。日本人の約8%~57%が象牙質知覚過敏症という報告もあります。

刺激が加わったときに痛みが出るのが特徴的で、刺激が無くなるとおさまります。

多くは、歯の根元がしみることが多いのですが、かみ合わせや歯の表面という場合もあります。

 

知覚過敏のメカニズム

歯の表面はエナメル質という硬い組織で覆われています。

この組織は、痛みを感じたり、しみたりすることはありません。

エナメル質の内側にある象牙質は冷たいものや熱いもの、もしくはこすったりする刺激などによって痛みを感じます。アイスを食べると歯がしみるという現象は、エナメル質の上から極端に冷たい温度が内部の象牙質に伝わって起こるものです。

象牙質には無数の小さな管が存在しています。これを象牙細管と言います。象牙細管の中は組織液で満たされており、象牙質の表面に刺激が加わると、組織液が移動して歯髄神経まで刺激が伝わります。そのため、痛みが発生するのです。※諸説あり

歯の根の部分はエナメル質がなく、象牙質でできているので、さまざまな原因で歯茎が下がって歯根が出てくると、しみたり痛んだりする知覚過敏になります。

加齢によって象牙細管が細くふさがってくることがあります。刺激が伝わりにくくなるために、この場合は知覚過敏症状が出ないことがあります。

象牙質がでているから必ず知覚過敏になるわけではありません。

西宮北口 歯医者 知覚過敏

知覚過敏の原因

  • 歯肉退縮(歯茎の位置が下がる)による歯根露出

歯茎の位置が下がってくると歯の根元が出てきます。すると、象牙質が露出することになるので、冷たいものや熱いものなどの刺激に対してしみるようになります。

歯を支えている骨の厚さや歯茎の厚さによって歯肉退縮が起こりやすい人、起こりにくい人がいます。日本人は歯肉退縮が起こりやすい人が多いと言われていますので、歯肉退縮しないように心がける必要があります。

歯肉退縮の原因は、

・加齢によって歯茎が下がる

・強い力で歯磨きをする、必要以上に同じ場所ばかり長時間歯磨きすると歯茎が下がる

・歯周病で歯が溶けることで歯茎が下がる

・くいしばりや歯ぎしりなどで歯に強く咬む力がかかることで歯茎が下がる

など上記が複合しておこるといわれています。

西宮北口 歯医者 歯肉退縮進行している歯周病の場合、治療後、歯茎の腫れが引いて歯肉退縮が起こることがあります。

多量の歯石を除去した場合も、歯石に覆われていた歯の根元が出てくるため、知覚過敏の症状が出る場合があります。

治療してから歯がしみてきたというのはよく起こることです。

進行した歯周病でなければ、このようなことは起こりにくいので、まずは歯周病を進行させないよう、適切な治療を受けることをお勧めします。

 

  • 歯がすり減ることによる象牙質露出

咬むことで歯は少しずつすり減っていきます。すると、エナメル質が減って象牙質が露出してきます。歯ぎしりをする方は通常よりも歯の減りが早くなります。わずかな露出で症状がでる方も入れば、広範囲にすり減っていても痛みを感じない方もいます。

 

  • エナメル質が溶けることによる象牙質露出

西宮北口 歯医者 酸蝕症の歯エナメル質はpH5.5で溶け始めると言われています。

健康にいいと言われているものの中には酸性の飲食物が多く、高頻度で長時間摂取しすぎるとエナメル質が溶ける酸蝕症といわれる状態を引き起こします。エナメル質が溶けて象牙質が出てくるので、知覚過敏症状が出やすくなります。また、象牙質はエナメル質よりも弱い酸のpH6で溶け始めると言われているので、ますます象牙質が溶け、しみる症状が出やすくなります。

酸蝕症についてのコラムはこちら→https://www.aobahiro-dc.com/column/2023/3081/

 

  • 虫歯治療後の知覚過敏

虫歯治療後、虫歯は取ったと言われたけど、歯がしみる・・

虫歯治療によって歯は削る刺激、詰め物の刺激が出るため、その刺激で歯の神経が痛みを感じやすくなることがあります。

 

  • ホワイトニングによる知覚過敏

ホワイトニングの際に使用する薬剤で一時的に知覚過敏が起こることがあります。

当院のオフィスホワイトニング剤は、知覚過敏が起こりにくい薬剤、ポリリン酸ホワイトニングを採用しています。

家庭でおこなうホームホワイトニングで知覚過敏が出た場合は、数日使用を控えると知覚過敏症状が無くなります。ホワイトニング中のみ知覚過敏症状が出ることが多く、終了すると回復していきます。

知覚過敏症状が普段から強くある方は、ホワイトニング治療で症状が悪化することもありますので、ホワイトニング治療を希望される際はメリットデメリットをよくご検討ください。

 

知覚過敏で気を付けてほしいこと

知覚過敏になると歯ブラシが触れると痛みがでるため、歯磨きが十分にできなくなります。その結果、しみる部位には歯垢(プラーク)がたまります。歯垢は細菌の塊です。細菌が産生する酸によって、象牙細管がさらに広がって刺激を感じやすくなり、知覚過敏症状が悪化します。すると、さらに歯磨きしにくくなり、歯垢がたまり、そのために今度は歯周病や虫歯になる悪循環を引き起こすきっかけになります。

 

知覚過敏の治療法

  • 知覚過敏用の歯磨き剤を使用する

西宮北口 歯医者 歯磨き剤歯がしみる症状ある場合は、虫歯の可能性もありますので、歯医者さんで見てもらう必要があります。歯医者さんで診断を受ける前に、歯の根元が下がったところがしみている、歯ブラシのときだけ歯がしみるという方は知覚過敏用の歯磨き剤を使用してみてはいかがでしょうか。

歯磨き剤は目的に応じて、虫歯予防、歯周病予防、ホワイトニング、知覚過敏の症状を抑える成分が入っているものなどがあります。

知覚過敏は、歯の神経が刺激を受ける=興奮することで痛みを感じることで起こります。カリウムイオンで神経を取り囲むことによって、神経が興奮しにくくなります。

知覚過敏用の歯磨き剤には硝酸カリウムという薬用成分が配合されており、カリウムイオンで神経の興奮を抑えることでしみるのを軽減します。また乳酸アルミニウムで象牙細管をふさぐ効果のある歯磨き剤も市販されています。

毎日使用を続けることで徐々に症状を落ち着かせる効果が期待できます。

もし、継続して使用しても効果が感じられない場合は、虫歯の可能性もありますので、早めに歯医者さんを受診してください。

  • 塗り薬をする

知覚過敏治療法 薬剤塗布西宮北口 歯医者 知覚過敏治療薬剤塗布歯科医院では知覚過敏用の塗り薬があります。歯磨き剤と同様に硝酸カリウムを配合しているものや、象牙細管の組織液を凝固させるもの、さまざまな成分で象牙細管の口を封鎖するものがあります。封鎖することで神経への刺激が抑えられるので、知覚過敏症状を抑えることができます。人によって症状も効き目も異なりますので、塗り薬を塗った後、症状がまだ改善しない場合は、他のタイプの薬を試していきます。

お薬を塗る前には、歯の清掃が必要となります。

歯磨き剤よりは効果が高く即効性があります。※1回で必ず改善するということではありません。また、強いブラッシング圧、歯ぎしり等がある場合、再発の可能性があります。

  • 歯のしみる部分に詰め物をする

西宮北口 歯医者 CR充填歯の根元が削れてしまい、しみる症状が出ている場合、塗り薬ではなかなか改善しないこともあります。その場合、虫歯治療で使用するレジンというプラスチック材料で詰めることで歯への刺激を防ぎます。あくまでも対処療法となりますので、知覚過敏の原因となる歯ぎしりによって、はがれてしまったり、強いブラッシング圧によって、歯が減ってくるのと同様に詰め物も減ってきたりすることがあります。

 

知覚過敏の予防法

知覚過敏はこれをすれば確実に予防できますというものはないのですが、以下のことに気を付けることである程度の予防はできると考えられます。

・歯周病予防

・歯を磨くときに軽い力で小刻みに動かす。

・知覚過敏用の歯磨き剤を使用する

・日中、くいしばりや歯ぎしりに気をつける

・寝るときにマウスピース(ナイトガード)を使用して歯へのダメージを軽減する

・酸性の飲食物を控える

虫歯や歯周病の予防と同じような項目がありますので、そちらを気を付けていれば、知覚過敏の予防にもなりそうです。

 

歯がしみるときは早めの受診を

昔、知覚過敏と診断されていた歯がまたしみてきたけれど、どうせ知覚過敏だと思っていたら、かなりの虫歯だったという方もいらっしゃいます。歯茎がやせて歯がしみていたが、虫歯ではないからとそのまましみるのを我慢していたら、歯の神経がダメージを受けて回復せず、神経の処置が必要となることもあります。

歯がしみるという症状は、虫歯、知覚過敏の他、歯に亀裂が入っている場合もあります。亀裂が入っている場合は、残念ながら抜歯となってしまうこともあります。

ご自身では、判断が難しいことが多いので、早めに歯医者さんにそうだんしてくださいね。

※参照 ライオン歯科衛生研究所 歯と口の健康研究室 知覚過敏

https://www.lion-dent-health.or.jp/labo/article/trouble/03.htm