歯が痛い!という時に頼りになります痛み止め~痛み止めについて

2023年12月02日

突然、歯が痛み出した。

治療の後痛くなってきた。

痛みを出そうとして治療しているわけではないのですが、外科的処置が中心の歯科では、どうしても処置後の痛みがでてしまうこともあります。

そのような時には、痛み止めで痛みをコントロールすることになります。

痛み止めはどんなものがあるの?

歯科で主にでるのは次の痛み止めです。

他にもありますが、勝手に3つ選びました。

西宮北口 歯医者 ロキソプロフェンナトリウム 西宮北口 歯医者 ジクロフェナクナトリウム 西宮北口 歯医者 アセトアミノフェン・ロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム水和物)

・ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)

・カロナール(アセトアミノフェン)

よく歯科で使用されているのが、痛みの元であるプロスタグランジンという物質の生成を抑えるNSAIDsといわれる非ステロイド性抗炎症薬です。

プロスタグランジンの中でも、特にプロスタグランジンE2は炎症や痛みを増強させます。

NSAIDsは主にプロスタグランジンE2の生成を抑制することで、鎮痛、解熱、抗炎症作用があります。

ロキソニン、ボルタレンなどはこの仲間です。

カロナールは、鎮痛、解熱作用はありますが、炎症を抑える効果はありません。

炎症が強いときはカロナールよりロキソニンの方が効果あります。

ロキソニンは速やかに効いてくれます。歯の痛みに対しては、30分で効いてきます。

服用量にもよりますが、鎮痛効果の順にボルタレン>ロキソニン>カロナールです。

ボルタレンはロキソニンより鎮痛効果が高いと言われています。

ボルタレンは効果がある分、副作用も若干起こりやすいとされています。

ボルタレンもロキソニンも痛みが強いときには1回2錠まで服用できますが、自己判断で量を増やすのは避けて下さい。

痛いからと言って、それ以上量を増やしても、効果は変わりません。

量を増やしすぎると副作用が出やすくなりますので、量は守って服用してください。

ロキソニンとカロナールの市販薬はありますが、ボルタレンの内服薬は市販されていません。(2023.11月現在)

カロナールは副作用が少なく、高齢の方にも使いやすいお薬です。

カロナールの800~900㎎、300㎎のカロナール3錠でロキソニン1錠と同じ効果になります。

小児には、カロナールが処方されます。

小児科で、体重何キロ?と聞かれることがあると思いますが、子供の場合は、体重に対してお薬の量が変わります。

お子さんの受診の際は、体重を覚えてきていただけると処方がスムーズです。

子どもが歯を痛がっているからと、ロキソニンを半分に割ってお子様に与えるのはやめて下さい。もともと、小児等を対象とした臨床試験は実施していないと添付文書にもあります。子供の安全性は確認されていません。

NSAIDs過敏症・不耐症

NSAIDsに対して喘息や蕁麻疹などの症状がでることを、NSAIDs過敏症と呼びます。

その中のNSAIDs不耐症はアレルギーのしくみでおこるものではなく、NSAIDsの、シクロオキシゲナーゼ阻害により生じる薬理学的変調現象と言われています。

症状として、薬を服用後、喘息がでるか、蕁麻疹が出るか大きく2つに分かれます。

NSAIDs投与後、数分から半日以内に発症することが多いと言われています。

喘息の場合、原因となる医薬品を服用して、多くは 1 時間以内で、鼻水・鼻づまりが起こり、 次に咳、息苦しさ、呼吸困難と症状が悪化していきます。

昔は、アスピリン喘息と呼ばれていましたが、今はアスピリンだけではなくNSAIDs全般で起こることから、NSAIDs過敏喘息(解熱鎮痛薬過敏喘息)といわれることが多くなりました。海外ではaspirin-exacerbated respiratory disease(以下、AERD)と言われていることが多いようですが、アスピリンだけでおこる喘息と誤解されないよう、NSAIDs-exacerbated respiratory disease (N-ERD)とも呼ばれるようです。

NSAIDs過敏症・不耐症は、アレルギーによるものではないため、通常のアレルギー検査では診断できず、問診と負荷試験による診断になります。

紛らわしいのですが、NSAIDsの特定の薬剤に対して反応するNSAIDsアレルギーというものもあります。

症状としては、アナフィラキシー症状、蕁麻疹などNSAIDs過敏症と同じような症状が出ます。

NSAIDsを飲んで今まで具合が悪くなった経験のある方は、必ず歯科医師にお伝えください。また、NSAIDs不耐症は、アレルギーとは違い、今まで痛み止めを1回も飲んだことのない方にも起こる可能性があるものです。

初めてNSAIDsを服用する際には、注意して様子を見てください。

アセトアミノフェンはNSAIDs過敏症には比較的安全といわれていましたが、1回500㎎以上の服用はやや危険とされています。

※参考サイト 非ステロイド性抗炎症薬による喘息発作 患者の皆様へ

https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1b30.pdf

非ステロイド性抗炎症薬による蕁麻疹/血管浮腫

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/12/dl/s1213-4k.pdf

今、手元にある薬は飲んでも大丈夫?

内科、整形外科などでもらった痛み止めが余っているという方、新型コロナウイルス感染症やワクチン接種後の副反応のために、自宅に解熱鎮痛薬を常備している方もいるかもしれません。

以前、薬局でもらった薬であれば、薬剤師さんにアレルギー等の確認や、飲み合わせの確認をしてもらっているから大丈夫だろうと思いますが、薬剤師会では、以前に処方された薬を取っておいて、別の時に自己判断で使用することはお勧めしていません。

薬をもらったのがかなり前で、いつも飲んでいる薬も変わったようなときには特に注意が必要です。

もし、残っている痛み止めを飲みたい場合は、他に飲んでいる薬との相性を確認してからにしましょう。

血圧の薬や血液サラサラになる薬との飲み合わせがよくないときがあります。

また、風邪薬を服用中の場合は、成分が同じで重複する可能性があります。

総合感冒薬で解熱効果があるものは重複する可能性が高いので、追加で痛み止めを飲むのはやめた方がいいと思います。

化膿止めのクラビットという種類のお薬はNSAIDsと一緒に飲むと副作用が起こる場合があります。

化膿止めと痛み止めを処方されて、化膿止めはまだ飲んでいるけれど、もらった痛み止めが無くなってしまったから家にある痛み止めを飲もうかな・・・とお考えの場合は、必ず化膿止めの種類を確認して、飲んでも大丈夫か確認してからにしましょう。

化膿止めをもらった病院へ問い合わせすると確実です。

解熱鎮痛薬は胃に負担がかかる場合があるので、空腹時は避けて十分量の水またはぬるま湯で服用しましょう。

市販の薬を飲んでもいいの?

急に歯の痛みが出た時、歯医者に行く暇がない、出先ですぐに受診もできないといいうときに頼りになるのが市販薬です。

市販薬も処方箋で出すものと同じ成分のものを購入することができます。

解熱鎮痛薬といわれるものは歯の痛みに効きますので、薬局で確認してご購入下さい。

市販薬の箱に「歯痛」と書いてあるものは使用できます

同じブランド名でも、名称が違うと成分が違いますので、薬にアレルギー反応が出たことのある方は慎重に成分を確認してご購入下さい。

ロキソニンは第一類医薬品となりますので、薬剤師がいる薬店での販売となります。

チェーン展開しているドラッグストアでは、店舗案内で第一類医薬品の販売があるかどうか事前に確認できるところもあります。処方箋受付しているところは、薬剤師がいますので販売している可能性は高いです。

※2023.11月現在

厚生労働省 市販の解熱鎮痛剤の選び方

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00404.html

市販薬の解熱鎮痛剤は眠くなるものや胃を保護する成分など鎮痛成分の他の成分が入っていることがあります。

仕事などで眠くなると困る場合は、眠くならないと書いてあるものを選ぶといいでしょう。

痛み止めがきかない、数時間しか効かないという時は?

虫歯が大きくて、神経にまで虫歯が達しているために神経に炎症が出たり、歯の根の先に膿がたまっていたり、歯茎に感染を起こして痛んでいたりする場合は、かなり強い痛みが出るために、痛み止めが効きにくくなります。

効いても、薬の効果が切れると歯の痛みが出てくるということになります。

そのような場合は、根本的な治療が必要となりますので、なるべく早く歯医者さんを受診してください。

激しい歯の痛みがあった場合は、歯の痛みが落ち着いたとしても、歯医者さんを受診しましょう。

治ったと思っていたら、神経がダメージを受け、痛みも感じなくなるくらい悪化していたということもあります。

※歯に何も異常がなく歯の痛みが出た場合、まれに心筋梗塞の前兆ので歯の痛みが起こることがあるので、注意が必要となります。普段は痛まないのに、運動をしたとき、興奮したときに痛みが出るときには、要注意です。心臓疾患の専門外来を受診して確認してもらうといいでしょう。

 

歯が痛いというのは何よりもつらいもの。

急な歯の痛みが出た時には、まずはお電話でご相談ください。