サホライド塗布ってどんな治療?メリット・デメリットを解説!

2024年07月05日

塗るだけで、虫歯を抑制する薬があると聞くと、それいいな!と思うかもしれません。

その薬の名前は商品名、サホライドといいます。

サホライドは、フッ化ジアンミン銀という成分を含む歯科薬剤で、虫歯の進行抑制や知覚過敏の治療などに用いられます。

西宮北口 歯医者 サホライド歴史は古く、1963 年、フッ化ジアンミン銀 38%溶液が開発され、1970 年 1 月、「サホライド」が製造承認を取得し、同年 2 月に発売されました。1970年代、子どもの虫歯によく使われていたのですが、近年は、子どもの虫歯が減少したこと、塗った部分が黒くなることから、使う頻度は激減しました。

2016年以降はアメリカ・その他の国でも、安価で簡単な虫歯治療材料として、世界でサホライドと同様の製品が相次いで販売され、使用が広がっています。

今回は、子どもの虫歯治療の際に、使うか、使わないか悩ましいサホライドについてお伝えします。

サホライドはどうして虫歯抑制効果があるの?

サホライドは、

1.銀イオンによる歯の強化

リン酸銀・タンパク銀等の銀化合物及を生成して、象牙細管を封鎖し、歯質を強化する。

2.フッ素による歯の強化

フッ化物による不溶性塩の生成により、象牙質細管を閉鎖し、う蝕の進行 を抑制する

3.細菌の酵素の阻害による殺菌効果

細菌の細胞膜・酵素の阻害により殺菌効果を発揮し、酵素の阻害により象牙質コラーゲンを保護する

という効果で虫歯を抑制すると言われてます。

サホライドのメリット

サホライドの最大のメリットは塗るだけで虫歯の進行を抑制することにあります。

フッ素濃度も約55000ppmと通常歯医者さんで塗ってもらうフッ素よりかなり高い濃度です。※歯医者さんでフッ素塗布に使用する薬剤のフッ素濃度は9000ppm。

歯を清掃、乾燥させて塗るだけですので、削らずに治療が可能です。

適応できる虫歯の大きさには限界がありますが、削る治療ができないお子さんに対しても、サホライドを塗って虫歯の進行を抑制することができます。

サホライドは以下の4つのステップで治療完了

1.歯をきれいにします

2.歯を乾燥させます

3.サホライドを歯に塗ります

※2歳児は30秒、3歳児では30秒~1分、4-5歳児では2分を目安です。

4.余分な薬を洗い流します

これだけですので、体を動かさずにお口を開けることができるお子さんであれば、治療が可能です。

また、近年では、根面う蝕といって、歯ぐきが下がって歯の根元が出てきた部分の虫歯に対して、予防・虫歯進行抑制効果が高いという報告がでています。

そのため、大人でもサホライドの使用が見直されています。

2022年に歯科保存学会より根面う蝕の診療ガイドラインが発表されましたが、そちらでも活動性根面う蝕の進行抑制に 38%フッ化ジアンミン銀の使用が推奨されています。

※参考サイト 日本歯科保存学会 根面う蝕の診療ガイドライン2022-非切削でのマネジメント-

https://www.hozon.or.jp/member/publication/guideline/file/guideline_2022.pdf

サホライドのデメリット

デメリットは虫歯の部分が黒くなることです。

穴が少し開いているだけの虫歯が、しっかりと黒くなるため、ますます虫歯のように見えてしまいます。

そのため、いずれ生え変わる乳歯に使用することが多いのですが、近年では、大人の根面う蝕に使われることもあります。

また、どのような虫歯の大きさにも使えるわけではなく、適応が、初期の虫歯に限られることです。

虫歯を取り除いているわけではありませんので、今後虫歯が進む可能性もあります。

効果を得るためには、2~7日くらいの間隔で3回ほど塗る必要があります。

その後の効果も半永久的ということではありませんので、定期的にチェックして、適宜塗りなおしが必要です。

歯医者さんでサホライドを塗るように勧められたけど・・・

他の治療法はないの?

虫歯の進行抑制ができると言われたけれど、黒くなるって、どうしたらいいのだろう

と思われたかもしれません。

通常の虫歯治療が問題なくできるのであればサホライドの塗布の必要はありません。

サホライド以外の詰める処置や、小さな銀歯を入れる処置で治療することができます。

しかし、1歳-3歳くらいまでの小さなお子さんが、歯医者さんの椅子に座って機械を使用して治療を受けることは難しいことが多いのが実情です。

かといって、そのまま虫歯を放置すると虫歯が進行していってしまいます。

いずれ生え変わる乳歯であれば、黒くなったとしても、生え変わりできれいな永久歯になります。

虫歯進行を止めるためにはやむをえないという判断で、サホライドの使用を勧められるのです。

黒くなるのは、虫歯の部分だけで、全ての歯が黒くなるわけではありません。

黒くなるのを許容するか、そのままにして虫歯の進行の経過をみていくかの選択をすることになります。経過をみる場合は、急速に虫歯を進行させないよう、食生活の見直し、丁寧な歯磨き、フッ素応用などできることをして経過をみていくことになります。

小さいお子さんにとって、機械をつかう虫歯治療はハードルが高いです。

まずは、サホライドで進行抑制しておいて、治療ができる年齢になったら、黒い部分を削って、代わりに白い詰め物で治療するということが可能です。

奥歯であれば、普段見えないところにもなりますので、許容できるかもしれませんが、小さなお子さんがよく虫歯になる上の前歯の間となると、かなり悩ましい判断となります。

一度塗ると変色しますので、サホライドを使用するかどうかはよくよく考えて決めるようにしましょう。

総合的にメリットとデメリットを比べて、よりお子さんにとって適した治療を選ぶようにしましょう。

まとめ

サホライドは、虫歯抑制に効果的な歯科薬剤ですが、メリットだけでなくデメリットも存在します。

サホライドを使用するかどうかは、歯科医師と相談し、年齢などを考慮して決めることが大切です。

数年前、岡山大学で、サホライドに変わる新しい薬剤を開発しているというお話がありました。

今後、見た目のいい、虫歯抑制剤が出てくるといいですね。