歯ぎしりは放っておくとどうなるの?
2025年03月03日
歯がだいぶすり減ってきた、歯をぶつけた自覚はないのに、ヒビが入っているということはありませんか。
歯医者さんで歯ぎしりしている可能性がありますと指摘されたということはありませんか。
もしかしたら、寝ている間に歯ぎしりやくいしばりをしているのかもしれません。
目次
睡眠時ブラキシズムとは?
寝ている間に歯をこすり合わせる歯ぎしりをしたり、くいしばったりすることを専門用語で「睡眠時ブラキシズム」といいます。ブラキシズムとは、本来の食物を噛んで飲み込む、発音するなどの口腔機能とは関係ない癖(習癖)と考えられています。
寝ているときの歯ぎしりといえば、歯と歯がこすれて出るギリギリ等の音がするものだけを想像されると思いますが、他に、音がしない「くいしばり」も隠れ歯ぎしりといわれていて、ブラキシズムの一種です。
ブラキシズムの発生率は成人では5~8%と言われています。
睡眠時ブラキシズムは、寝ている間のことなので、ほとんどの方が自覚はありません。
寝ている間は、咬む力のコントロールができないため、人によっては、日中よりも強い力や通常とは違う咬み方で歯ぎしりをしていることがあります。
通常の歯や顎にかかる力は自分の体重くらいといわれていますが、寝ているときはその倍の力が歯に加わると言われています。
そのため、歯と顎にはかなり負荷がかかっており、歯のトラブルを引き起こすことがあるのです。
歯ぎしりで起こる歯のトラブル
- ・歯のすり減り
- ・知覚過敏
- ・歯が欠ける・破折
- ・詰め物が割れる・外れる
- ・歯ぎしりによる歯の揺れ
- ・口周りの筋肉への影響
歯ぎしりは、必ず治療しなければならないものではありませんが、放っておくと様々なことを引き起こします。
歯がすり減るとどうなるの?
歯の一番丈夫なエナメル質がすり減りにより無くなると、歯がしみるようになったり、虫歯にリスクが高まりますので、トラブルも多くなります。
薄くなった歯の部分が欠けたり、割れたりする可能性が高まります。
かみ合わせの高さも減りますので、歯の形だけではなく、口元のが印象が変わることもあります。
歯のすり減りによって、食べ物をうまく咬み切れなくなる場合があります。
詰め物が何度もかけてしまうのはどうして?
詰め物・かぶせ物をしたのに、すぐに取れてしまった、欠けてしまったというとき、歯医者が悪くてとれたと思うことでしょう。
治療になにか不備があるという可能性もありますが、いつも同じ場所が取れる、あちこちの詰め物が取れるという場合は、歯ぎしりが原因であることも多いのです。
金属性の詰め物に対して、見た目が良いため、セラミック製の詰め物を希望される患者様も増えてきましたが、歯ぎしりの癖がある方にとっては、セラミック治療に相性が良くないこともあります。
セラミックは陶器です。硬さは十分ですが、衝撃に対しては脆いところもあります。
通常の使用には十分耐えるセラミックですが、歯ぎしりによるかみ合わせの負担には耐えられないことがあるのです。
最近では、ジルコニアという、高い硬度の材料が出てきました。別名ホワイトメタルと呼ばれる程の硬さです。見た目も当初より改善され、適応できる範囲も増えてきました。
歯ぎしりのある方は、丈夫な材料を選択する、ナイトガードといって、夜間装着して歯を守る装置などを付けてかぶせ物を守るといった配慮が必要になるでしょう。
歯ぎしりで歯がゆれる?
歯ぎしりの強い力が歯を支えている歯の周りの組織(歯ぐき、歯槽骨、歯根膜)にダメージを与えます。
周りの組織がダメージを受けると、歯が揺れる状態になります。
特に、歯周病になっていると、元々組織が弱っているため、歯ぎしりによるダメージの影響を受けやすく、揺れが大きくなります。
歯ぎしりによって歯がすり減って、噛み合わせの変化によって、特定の歯に過剰な力がかかり、歯の動揺を引き起こすことがあります。
口周りの筋肉への影響
歯ぎしりは、単に歯をすり減らすだけでなく、筋肉にも影響を及ぼします。
特に、口周りの筋肉への影響は大きくなります。
歯ぎしりは、咀嚼筋といって、ものを噛むときに使う筋肉を常に緊張状態にします。
筋肉の使い過ぎによって痛みや疲労を引き起こします。
起きた時にだるい、痛いという症状がでることもあります。
長期間の歯ぎしりは、常に筋トレをしている状態になり、特に咬筋を肥大させることがあります。これによって、エラが張ったように見えて、顔の輪郭に変化が出る場合があります。
歯ぎしりセルフチェック
歯ぎしりをしていると、さまざまなサインがお口の中に出てきます。
家族から指摘されて初めて気づいたという方もいらっしゃいますが、自分でも確認することができます。
お口の中を一度チェックしてみましょう。
- □歯がすり減ってツルツルしている
- □朝起きた時、顎に痛みや疲れがある
- □朝起きた時、歯に痛みや違和感がある
- □歯の詰め物、かぶせ物が取れやすい
- □エラ張り顔になってきた
- □舌、頬に歯の痕がついている
- □口の中に骨の盛り上がり(骨隆起)がある
一番わかりやすいのは、歯がすり減っていることですが、それ以外にも、様々な症状が出てきます。
1つでも当てはまる方は、歯ぎしり、くいしばりをしているかもしれません。
最近は、夜間歯ぎしりをしているかどうかを確認できるアプリがあります。
自分が歯ぎしりしているかどうか、気になる方は試してみてください。
歯ぎしりは、放置すると様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
もし、歯ぎしりの症状に悩んでいる場合は、早めに歯科医院を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう
※参考サイト 歯科医師会 テーマパーク8020 歯ぎしり